1983年クリスマスイヴ
1983年12月24日、予備校生だった私は帰りの電車の中で、小学校から高校までいっしょの同級生Kに会った。窓の外は冷たい冬の雨が降っていた。
その年浪人中にもかかわらず彼女がいたが、付き合いは短く夏に振られて以来、受験に向けてひたすら勉強に励んでいた。
友人Kはすでに進学していて学校の帰りで、今夜は彼女とデートだと言っていた。Kの家は私の駅の一つ手前で、先に降り、私も家に帰り着いてほどなくKが車でうちに来た。彼女のMちゃんがこのあとの電車で帰ってくるまでの暇つぶしだ。Mちゃんは駅から私の家の前を通って帰る。
Kが今夜のデートで聞く曲だといって、カセットテープをかけ始めた。山下達郎のMelodiesだった。その年に発売されたアルバムで、その中にはあの名曲「クリスマスイヴ」が収録されていた。失恋したことを知っていたKは、「きっと君は来ない~」と私を指差しながら歌った。
その歌詞にはムッとしたがいい曲だ。コーラスがすばらしい。やがてMちゃんの乗った電車が駅に着くと、Kはそのカセットをひったくるように取って、デートに行った。
窓から二人を見送ると冷たい雨がいつしか、雪にかわっていた。
メリークリスマス!
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